以前に国内旅行業務取扱管理者試験の勉強法を語ったので,今回は「総合旅行業務取扱管理者試験の独学の仕方」についてみていくことにしましょう!
両者の間には共通点が多く,国内のものに受かると翌年度以降の総合旅行業務取扱管理者試験のうち,旅行業法令と国内旅行実務の試験が免除になります。
また,国内旅行実務と海外旅行実務に関しては,前年度に受かったものを翌年度の試験で免除にすることが可能です。
これら2つともに該当するようだと約款のみが試験科目となり,その際の合格率は90%を超えることになります。
とはいえ,一般的にみれば難しいテストで,自分なりの戦略をもって挑むことが合格可能性をグッと高める秘訣です。
以下では,国内旅行業務取扱管理者試験と違う部分を中心に語っていきたいと思います。
総合旅行業務取扱管理者試験の基礎知識

総合旅行業務取扱管理者試験は,その性質上,社会人が受けることが多く,主な受験者は旅行業に携わっている方と大学生です。
もっとも,旅行業者等以外の会社員の出願もみられるのですが,令和3~6年度のデータによると全部で5000~8000名程度が受験しています。
合格率は20~30%程度ですが,全科目を受験する場合は約8~13%にまで下がり,1回の受験で受かろうとしなければ合格率は倍以上になりそうです。
試験は10月に行われ,午前中に旅行業法令(正確には「旅行業法及びこれに基づく命令」)と約款(正確には「旅行業約款,運送約款及び宿泊約款」)が,午後の時間帯に国内旅行実務と海外旅行実務の試験が行われます。
時間は旅行業法令と約款が80分で後者が120分となっていて,免除科目がある場合には,約款のみを40分で受験したり海外旅行実務のみを80分で解いたりすることになるわけです。
なお,約款は免除になることがないため,受験に必要な科目はそれ以外の3科目を受けるか受けないかの組み合わせで計8通りとなります。
国内旅行業務取扱管理者試験よりも難しいとされ,合格率は半分以下になることがほとんどですが,大きな違いとして挙げられるのは海外旅行実務が試験科目に含まれていることです。
なので,複数回受験で突破するのであれば,最終的な受験区分は以下のいずれかになるでしょう↓
- 国内旅行業務管理者試験に合格する→約款と海外旅行実務を受験する(区分E)
- 前年度に総合旅行業務取扱管理者試験の海外旅行実務以外に合格する→旅行業法令と約款と海外旅行実務を受験する(区分C)
よって,以下ではこれら科目に絞って考えてみることにします。
国内旅行実務の攻略法を知りたい方は,最初に紹介した国内旅行業務取扱管理者試験の記事をお読みください。
旅行業法令と約款の攻略法

これらの攻略法については国内旅行業務取扱管理者試験の記事のところでも解説したのですが,約款は総合においても必ず毎年受けなければならないものなので,改めて述べておくことにしましょう。
約款のみを受ける場合,試験時間は40分で済みますが,旅行業法令も受ける場合には倍の80分となります。
必ずしも40分ずつ時間をかける必要はないため,あえて旅行業法令も受ける戦術を採用する方もいるかもしれません(ただしそのためには,前年度に国内旅行業務取扱管理者に合格し,かつ総合旅行業務取扱管理者試験で国内旅行実務に合格する必要があります)。
実際,海外旅行実務と比べて,これら2科目は対策が難しくありません。
というのも,やることが以下の2つだけだからです↓
- 参考書を使って基本的な知識を学ぶ
- 問題集を解く
まずは基礎知識を学びますが,1日1時間の学習時間でユーキャンの本だと20ページちょっとを読めて,2週間もあれば1周できます。
参考書を読む時のコツですが,説明を読んで,
と思える考え方に修正して納得して学び進められる態度が重要です。
例えば,過剰予約受付により予定していたホテルが別のホテルに変更となった際,代替先が上位ランクとなっていても変更保証金の支払い対象になりますが,
立地とか部屋の雰囲気が気に入らなかったらより良いホテルであっても嫌な人はいるだろうな。だから保証金が支払われるのか。
といった具合に,自分なりの理由付けを行っていきます。
その推論がたとえ間違っていても構いません。
自分が納得できることが重要で,それで長い間,記憶に留まることになります。
問題集をやるときも同じくらいの速さで終えることができ,1度目にできなかったもののみをやり直すようにして計3周することになっても,1日1時間くらいかければ1ヶ月もかからずに終えられるでしょう。
ただし,2周目以降は解説部分でポイント整理をしている箇所を読み直すようにする(1周目で正解した問題であっても読む)ことが望ましく,それによって問題を解き直さない範囲の内容も忘れずに済みますし,自信がないところだけ別にメモしておけば,試験直前に見直しできます↓

この作業に多くの時間が取られることはないので,間違いのチェックやメモ取りをサボらないようにしましょう。
よく,試験前に重い参考書を持参してきては最初のページから律儀に読み直しているような人を見かけますが,それは非効率なのでできるだけ避けるのが無難です。
当日は,短時間で確認しておきたい部分のみを復習すべきで,パソコンを使えば上のようなまとめプリントを簡単に作成できます。
問題集を2周する際にすべての問題を解き直してみると実感が沸きますが,間違える問題は同じところである場合がほとんどです。
なので,間違えた問題のみをやり直すのが最も効率的な方法となります。
ところで,旅行業法令や約款は何年も変更になっていないことがほとんどです。
一応,問題集を購入する前に確認しておくようにしますが,問題がなければ数年前の参考書を購入したところで問題ありません。
実際の解き方ですが,誤っているものなのか正しいものだけをすべて選ぶものなのかなど,注意を要する指示内容に線を引いておく他,明らかに間違えだと思える箇所にも線を引いたり,自信がない問題があれば後で再挑戦できるように印を付けたりしておきます↓

これだけ慎重に解いていたとしても意外と逆の答えを選んでいることがある(特に「すべて選べ」という指示の際は誤解していることに気付きにくい)ので気をつけてください。
「見直しの時間で1つでも間違いが見つかれば上々」と言われますが,私は3つくらい見つかり,試験時間をギリギリまで使って見直すことの重要性を身をもって知りました。
答えが判明した時点で残りの選択肢を読まないようにすることで時短も可能ですが,試験時間にそこまで余裕がないわけではないので,全部の文章を読んでも時間が不足することはないでしょう。
海外旅行実務の攻略法

海外旅行実務の攻略法ですが,英語ができるかどうかで取るべき戦略がガラッと変わります。
航空会社コードや海外の史跡などは初めて学ぶことになるので辛いものですが,英語ができれば学ばずに済む範囲が出てくるわけです。
具体的には,全部で10個ある大問のうち,第7問以降がほとんど勘で解くような状態であっても,普通の正答率でもって合格することができます。
これはどういうことでしょうか。
まずは総合旅行業務取扱管理者試験の配点を見てください↓
- 語学部分が40点
- 海外地理が40点
- それ以外が120点
となっており,合格点は120点以上です。
海外地理の問題(第7問目以降)では答えを1つ選ぶ問題とすべて選べという問題の2種類がありますが,前者は勘で解くと25%の正答率で,後者の方は15%程度の正答率になります。
なので,期待値は8点くらいと計算できるでしょう。
そうすると,英語が満点だった場合,後半部分(第5問目以降)で48点が期待できるので,残り120点のうち72点を取れると合格点に達しますが,これは6割の正答率で実現することが可能です。
逆に,英語が苦手な方は海外地理をしっかり学ばなければならなくなります。
英語で6割取れるなら海外地理も同じくらい,6割を切るようならば海外地理で挽回できる点数を取らなければいけません。
海外地理に関してはこれだけ学べば十分という終わりがないので,勉強効率が悪いです。
かといって,英語の方も一から学ぶとなると非効率ですから,長期計画でもって高校範囲を学び直しましょう。
国内を受けてから総合旅行業務取扱管理者の試験を受ける場合,実質1ヶ月での勉強期間になることが多く,その間に何ができるのか,自分の得意・不得意を参考に,よく考えてみてください。
少なくとも,英語か海外地理のどちらかに絞って勉強するのが戦略的にはベターで,二兎を追うことはおすすめしません。
その他の注意点として,計算式ではどこが違うかを明らかにしてから始めると良いでしょう。
また,正しい答えを選ぶのに消去法も有効です。
まとめ

以上,総合旅行業務取扱管理者試験の攻略法でした。
大学受験や就職試験でも英語が優遇される傾向が高いですが,本試験に関しても,英語が得意だと合格しやすいように思われます。
残念ながら英語が苦手な方は,海外地理の勉強を人一倍頑張るようにしてください。
一般的には広く浅く学ぶべき範囲ですが,海外の史跡を扱った参考書を別に購入してみたり,または世界遺産検定の勉強をしてみたりするなど,より深く学ぶようにしてみましょう。
上で紹介しなかったものとして,海外地理と英語をどちらも捨て問にして,それ以外のところで9割近い正答率でもって合格することも考えられなくはないのですが,実現可能性はかなり低くなります。
そもそも,英語も海外地理も苦手とする総合旅行業務取扱管理者に明るい未来が待っているとは思えません。
もちろん,理想はどちらも満遍なくできることですが,せめていずれかは得意にして試験に挑みたいものです。
以上のことに注意して,戦略的に合格を目指して頑張ってみてください。
最後までお読みいただきありがとうございました。