今回は,MARCHに現役合格した先輩の体験談から「高校3年生が一年間で何時間くらい勉強したか」についてまとめてみたいと思います。
もちろん,人によってスタート時における知識量や合格可能性は異なりますが,先が見えない受験勉強において,目安となる勉強時間について知っておくことは,この先どこかで行き詰ったときに役立つでしょう。
これからの1年間でMARCH合格を目指す現役生の参考にしていただけたら幸いです。
受験勉強開始時の学力について
今回紹介する先輩の受験勉強開始時(4月頃)の学力について整理すると,当記事では以下を想定しています↓
- 定期試験の成績は「下」で,クラスではワースト5位あたり
- 高校3年生になるまでは特に受験を意識していない
- 模試の偏差値は40未満(駿台)から50程度(河合)
- MARCHの判定はどこもE判定
高校の勉強は真面目にこなしていましたが,要領が悪いのか,成績は平均かそれ以下で努力が結果に結びつかないタイプの成績でした。
一般的にみれば,MARCHに現役合格するのは無理そうですが,のほほんとした性格のせいなのか,4月の段階において,それがどれほど大変なことなのかイメージすらできていなかったように思います。
でも逆に,それが変な焦りや苦悩を生まずに済んだことで,成功に繋がったのかもしれません。
自信家のようには見えませんでしたが,心のどこかで
自分はやればできる
と思っていたのでしょう。
実はこの予感はすごく大切で,まだ受験勉強を始めておらず,かつ自分の実力が未知数の段階では諦めるには早すぎます。
自分を信じて覚悟を決めることが第一段階です。
MARCHの受験科目は私大だけにせいぜい3つですから,国公立のように共通テスト含めて7科目くらい受ける必要がある方に比べて学習時間の配分はしやすいでしょう。
逆に,浪人生ですでにある程度の範囲を学び終えたにもかかわらず,浪人一年目の春にDまたはE判定の方は絶望的で,私はMARCH合格は素直に諦めることを勧めています(学力ではなく才能が足りないとなると,これを補うのに1年では足りないからです)。
それでは次章から,実際の彼女にどのような勉強時間の推移が見られたのか,合格体験記を読みながらみていきましょう!
MARCH現役合格者の4月から夏休みまでの勉強時間
Yさんの体験談①
私は部活をやっていたので,6月の初旬までは勉強と部活の両立をしていました。また,夏休みまでは日曜日に用事を入れることが多かったので,部活を引退した後もあまり勉強時間は多くありませんでした。
夏休み前に担任の先生と面談をして,夏休みの1日の勉強スタイルの予定を立てました。先生に言われたことは「毎日13時間勉強しろ」とのことで,それを目標にしましたが,実際の夏休みは平均で10時間くらいの勉強量でした。
これ以上はできず,朝早く起きるのがとにかく大変だったことを覚えています。あと,たまに息抜きに遊びに行ってました。
春になると突然,
死ぬ気で受験勉強,頑張ります!
的な宣言をしてくる生徒が多いのですが,それはまだ受験勉強を始めていないからこそ言えることです。
実際にやってみるとわかりますが,長時間勉強することに慣れていない人が,突然「13時間勉強しよう」と思ったところで簡単にできるものではありません。
長時間の勉強経験がこれまでにない方は,10時間以上の学習はまず不可能だと考えてください。

まずは,どれだけの量,自分が勉強できるのかを把握し,集中できる時間をどのくらい確保できるかについての基本情報を集めることに専念してほしいと思います。
ちなみに彼女は「スタディプラス」というアプリを使って,受験期の勉強量に関して,詳細なデータを記録していました↓
上のグラフから読み取れる内容をまとめてみると,
- 4月は学校の授業以外に全部で90時間程度
- 5月はGWなどを利用して約120時間の勉強時間
- 6月は部活関連に時間を取られることが多く100時間程度
- 7月は夏休みが始まったこともあり,224時間の勉強量
- 8月は次第に長時間の勉強に慣れ,約300時間の勉強時間
となり,他の生徒と比べてみても,これがMARCH現役合格者の,夏休みが終わるまでの勉強時間の推移と言って構いません。
学校があって,しかも部活があるとなると,平日は「3時間」というのが勉強時間の限界でしょう。
長時間勉強した経験のない彼女が,夏休みになんとか10時間勉強できるようになったのは,かなり頑張った証拠です。
慶應に現役合格するような生徒だったり,男子でやたらと体力があったりする生徒だと,夏に14時間くらい勉強できるようになることが多いので,「夏に10時間勉強できるようになる」ことが1つの壁なのかもしれません。
みなさんも,なんとかこの数字を目標に頑張ってみてください!
とはいえ,この生徒の夏直後のマーク模試の偏差値は50程度で,MARCHの合格判定はすべてがE判定でした。
スタート地点やこれまでの塾での経験を踏まえるに,これは十分想定できる結果ではありましたが,彼女的には,MARCH受験者の層の厚さを思い知る結果となったようです。
MARCH現役合格者の夏休みから受験本番までの勉強時間
ですが,現役生が伸びるのは秋からです!
浪人生は早くから学力がある程度完成しきっているため,夏休み後に大きな伸びが期待できません。
さらには,失敗できないというプレッシャーから,実力以上のパフォーマンスを本番で発揮できないこともしばしばです。

以下の体験談の中に,現役生のクラスの雰囲気のようなものを感じ取りながら,彼女の受験本番までの勉強量の変化をみていくことにしましょう↓
Yさんの体験談②
夏休み明けはクラスメイトもすっかり受験モードになっていて,「私も勉強しなきゃ!」という気持ちになりましたが,私はある日,自分が文化祭委員になっていたことに気づき,文化祭の準備をしなくてはならないことが発覚しました。
そのせいで,9月の放課後は文化祭の準備に多くの時間を費やすことになり,周りの受験生と比べて勉強時間が少なかったように思います。なので,文化祭の準備がない日にはすぐ塾に行って,人一倍集中して勉強するようにしていました。
文化祭後は集中力も上がって勉強時間が増えたように思います。休日は模試の日を除くと毎回13時間以上は勉強していました。模試があった日は,家に帰ってからはほぼ自己採点しかできず,毎回頭がとても疲れてしまったせいで,「もう勉強したくない!」という気持ちになってしまったものです。
私は諸事情により,学校のテストの成績をそこそこ高くしなければならなかったので,定期テストの前には受験勉強に加えて学校の勉強もやらなければならず,早く冬休みになって受験勉強だけしたいと思っていました。というのも,学校のテスト勉強は受験で使わない科目が多く,テスト勉強と受験勉強は全く別物ように感じられたからです。
冬休みは大体13時間ぐらい勉強しました。2学期の休日もそうでしたが,早寝早起きを心がけるようにしていて,12時に寝て5時〜6時に起きるようにしました。夏休みよりも危機感が強まり,早起きできる日が増えたように思います。私の入試は2月1日から始まり,それ以降,何もない日の勉強時間は10時間ぐらいでした。
そんな彼女の勉強時間ですが,以下のように推移しています↓
上記グラフに示された勉強時間をまとめてみると,以下のような結果となりました↓
- 9月には学校の授業が開始となったが,それでも月に150時間の勉強時間を確保
- 10月は190時間以上の勉強量。これは,学校の授業以外に1日6.5時間のペース
- 11月はより集中できていて,計220時間の勉強時間を確保
- 12月の冬休みになると,朝早く起きる勉強スタイルがはまり月に330時間を記録
- 1月の受験直前期は390時間(1日13時間)も勉強できるようになった
夏以降の時期は,推薦や各種行事の関係で,色々予測不能な事態が起こり,結果的に満足に勉強時間が確保できないことが多々あります。
上の体験談を読むとわかりますが,「周りの友達がいよいよ本格的に受験勉強を頑張り始めた」という教室の雰囲気が否が応でも伝わってきて,自分だけが満足に勉強できていない気がして焦ってしまったようです。
ですが,これは現役生ならではのボーナスのようなもので,1人で自宅で受験勉強をしている浪人生や進学校でない学校に通っていると気付けないことでもあります。
とはいえ,彼女自身も周りと同様,しっかり成長していて,夏休み前と勉強量を比較してみると,確実に勉強の習慣が身に付いていることがわかるわけです。
1日あたり5時間だったものが6時間,そして7時間と徐々に勉強時間が増えています。
学校に通学する必要がなくなった12月から1月の間は,あれほど大変だったはずの「平均13時間の勉強量」をついに突破しました。
ここまで来ると,過去問を解いていてかなり得点できるようになりますし,「武器」と呼べる自信のある科目(彼女の場合は,文系数学)が生まれてきたのが印象的でした。
MARCH現役合格に必要な勉強時間とは
彼女の入試結果ですが,決して順調という感じではなく,MARCHの大学をいくつか受けた内の1校に見事現役合格したわけですが,4月の絶望的な状況から,勉強時間に比例して成績が上がっていったところが良かったです。
長時間勉強できることは,MARCH合格者が備えている資質・能力と言えるでしょう。
最後に,彼女の考えるMARCH合格に必要な勉強時間について聞いてみました↓
Yさんの体験談③
私は勉強時間だけでなく,どれだけ集中して勉強できるかが大切だと思っています。1日でどれほど学んだことが身についたか,そしてどんなことを学べたのかに注目すべきで,勉強時間にこだわるのは二の次であることを,私はこの受験を通して身をもって知りました。
睡眠時間を減らして勉強時間を増やしたとしても,昼間に眠くなってしまっては意味がありません。睡眠時間をどれだけ取るべきかは人それぞれです。だから,周りが徹夜して頑張っていたり早起きして勉強をたくさんしていたりしても,「自分もそうしないといけない」と考える必要はありません。
周りは気にせず,自分の集中力が続く勉強時間について知るべきです。私の場合は,学力が志望校のレベルにかなり及んでいなかったため,勉強時間を多く確保したいと考えていました。しかし,私は勉強すると眠くなってしまうタイプなので,眠気を誘発する科目の勉強をする際は,目が冴えている午前中や夕方にやるようにし,比較的楽しく学べるものは食事後に勉強するなどと工夫していました。
私は学力が足りていないのにもかかわらず,部活をしていたり文化祭委員をやっていたりしたために,冬休み前の勉強時間は少なかったです。その焦りもあって,冬休みは後悔がないほどの勉強時間を確保することができました。勉強時間は,自分が満足できる時間を勉強すれば良いのだと思っています。勉強は体力勝負とも言われるぐらいとても大変な行為なので,徐々に勉強時間を増やしていくのがよいでしょう。
成し遂げた人にしかわからない生の声がここにあります。
確かに,勉強時間は目安にしたいものの1つですが,そればかりにこだわった結果,適当にぼんやりとオンライン教材を眺めているような無為な時間の過ごし方をしたり,自習室に行っても半分眠ったような状態になったりすれば,もはやそれは真の意味での「勉強時間」とは呼べないでしょう。
自分の勉強時間が足りているか不足しているかは,自分自身が気が付いているはずです。
そのような自分の心の声に耳を傾け,周りに流されることなく焦りの気持ちを味方に付けるようにしては,自分が納得する受験生活を送ってほしいと思います。
まとめ
当記事の最後に,MARCHに合格した現役生の1日当たりの勉強時間の目安についてまとめてみると,以下のようになります↓
- 4~6月は「大体3~4時間」(部活と勉強を両立している場合)
- 夏休みは「10時間」を目標に。可能ならば「13時間」に挑戦
- 9~11月は部活はないが,焦る時期。勉強時間は「5時間前後」
- 冬休み~直前期は「10~13時間」が普通になる
現役生の場合で,これまで長い時間勉強した経験がない方は「1日5時間」を目安にひとまず頑張ってみてください。
夏が過ぎてE判定であっても,彼女のようにMARCHに合格できる学力に達することは可能です。
逆転合格するためには,最後の追い上げが始まる夏以降に向けて,自分なりの勉強時間の確保と,集中できる勉強環境を作るといった,自分なりに工夫しながら学ぶ必要があります。
最終的に13時間程度勉強できるようになったら,来春,費やした時間に見合うだけの喜びが訪れることでしょう。
ぜひ,今回紹介した勉強時間の推移を参考に,この1年頑張ってみてください!
なお,偏差値の遷移については,以下の記事にまとめています↓
併せて参考にしてください。