以前に国内旅行業務取扱管理者試験の勉強法をまとめたので,今回は「総合旅行業務取扱管理者試験の独学の進め方」を整理していきます。
両者の間には共通点が多く,国内のものに受かると翌年度以降の総合旅行業務取扱管理者試験のうち,旅行業法令と国内旅行実務の試験が免除になります。
また,国内旅行実務と海外旅行実務に関しては,前年度に受かったものを翌年度の試験で免除にすることが可能です。
国内試験合格による免除と,前年度の科目合格による免除の両方を使える場合は,受験科目が約款のみになることもあります。
とはいえ,一般的にみれば難しいテストで,自分なりの戦略をもって挑むことが合格可能性を大きく高めるポイントです。
特に日頃からTOEICの勉強をしていて英語が得意な方にとっては,非常に有利に戦える試験となっています。
以下では,国内旅行業務取扱管理者試験と違う部分や,英語力を生かした攻略法を中心に語っていきたいと思います。
総合旅行業務取扱管理者試験の基礎知識

総合旅行業務取扱管理者試験は,その性質上,社会人が受けることが多く,主な受験者は旅行業に携わっている方と大学生です。
もっとも,旅行業者等以外の会社員の出願もみられるのですが,令和3~6年度のデータによると全部で5000~8000名程度が受験しています。
合格率は20~30%程度ですが,全科目を受験する場合は約8~13%にまで下がるため,複数年で受ける前提なら,見かけの合格率よりは戦いやすくなります。
試験は10月に行われ,午前中に旅行業法令(正確には「旅行業法及びこれに基づく命令」)と約款(正確には「旅行業約款,運送約款及び宿泊約款」)が,午後の時間帯に国内旅行実務と海外旅行実務の試験が行われます。
試験時間は,旅行業法令と約款が80分,国内旅行実務と海外旅行実務が120分です。
免除科目がある場合には,約款のみを40分で受験したり海外旅行実務のみを80分で解いたりします。
なお,約款は免除になることがないため,受験に必要な科目はそれ以外の3科目を受けるか受けないかの組み合わせで計8通りとなります。
国内旅行業務取扱管理者試験よりも難しいとされ,合格率は半分以下になることがほとんどですが,大きな違いとして挙げられるのは海外旅行実務が試験科目に含まれていることです。
なので,複数年での合格を狙うなら,現実的には次のような受け方が中心になります↓
- 国内旅行業務取扱管理者試験に合格する→約款と海外旅行実務を受験する
- 前年度の総合試験で「国内旅行実務」だけ先に科目合格しておく→翌年は旅行業法令と約款と海外旅行実務を受験する
よって,以下ではこれら科目に絞って考えてみることにします。
国内旅行実務の勉強の基本サイクルを知りたい方は,冒頭で紹介した国内旅行業務取扱管理者試験の記事をお読みください。
旅行業法令と約款の攻略法

参考書と問題集を反復する基本的な勉強サイクルについては国内旅行の記事でお伝えした通りですが,ここではより実践的な「問題の解き方や考え方のコツ」について解説します。
約款のみを受ける場合,試験時間は40分で済みますが,旅行業法令も受ける場合には倍の80分となります。
必ずしも40分ずつ時間をかける必要はないため,あえて旅行業法令も受ける戦術を採用する方もいるかもしれません(ただしそのためには,前年度に国内旅行業務取扱管理者に合格し,かつ総合旅行業務取扱管理者試験で国内旅行実務に合格する必要があります)。
実際,海外旅行実務と比べて,これら2科目は対策が難しくありません。
というのも,やることが以下の2つだけだからです↓
- 参考書を使って基本的な知識を学ぶ
- 問題集を解く
まずは基礎知識を学びますが,1日1時間の学習時間でユーキャンの本だと20ページちょっとを読めて,2週間もあれば1周できます。
参考書を読む時のコツですが,説明を読んで,
その通り!
と思える考え方に修正し,納得して学び進めていく態度が重要です。
例えば,過剰予約受付により予定していたホテルが別のホテルに変更となった際,代替先が上位ランクとなっていても変更補償金の支払い対象になりますが,
立地とか部屋の雰囲気が気に入らなかったらより良いホテルであっても嫌な人はいるだろうな。だから補償金が支払われるのか。
といった具合に,自分なりの理由付けを行っていきます。
その推論がたとえ間違っていても構いません。
自分が納得できることが重要で,それで長い間,記憶に留まることになります。
問題集をやるときも同じくらいの速さで終えることができ,1度目にできなかったもののみをやり直すようにして計3周することになっても,1日1時間くらいかければ1ヶ月もかからずに終えられるでしょう。
ただし,2周目以降は解説部分でポイント整理をしている箇所を読み直すようにする(1周目で正解した問題であっても読む)ことが望ましく,それによって問題を解き直さない範囲の内容も忘れずに済みますし,自信がないところだけ別にメモしておけば,試験直前に見直せます↓

この作業に多くの時間が取られることはないので,間違いのチェックやメモ取りをサボらないようにしましょう。
よく,試験前に重い参考書を持参してきては最初のページから律儀に読み直しているような人を見かけますが,それは非効率なのでできるだけ避けるのが無難です。
当日は,短時間で確認しておきたい部分のみを復習すべきで,パソコンを使えば上のようなまとめプリントを簡単に作成できます。
問題集を2周する際にすべての問題を解き直してみると実感が沸きますが,間違える問題は同じところである場合がほとんどです。
なので,間違えた問題のみをやり直すのが最も効率的な方法となります。
ところで,旅行業法令や約款は何年も変更になっていないことがほとんどです。
一応,問題集を購入する前に確認しておくようにしますが,問題がなければ数年前の参考書を購入したところで問題ありません。
実際の解き方ですが,誤っているものなのか正しいものだけをすべて選ぶものなのかなど,注意を要する指示内容に線を引いておく他,明らかに間違いだと思える箇所にも線を引いたり,自信がない問題があれば後で再挑戦できるように印を付けたりしておきます↓

これだけ慎重に解いていたとしても意外と逆の答えを選んでいることがある(特に「すべて選べ」という指示の際は誤解していることに気付きにくい)ので気をつけてください。
「見直しの時間で1つでも間違いが見つかれば上々」と言われますが,私は3つくらい見つかり,試験時間をギリギリまで使って見直すことの重要性を身をもって知りました。
答えが判明した時点で残りの選択肢を読まないようにすることで時短も可能ですが,試験時間にそこまで余裕がないわけではないので,全部の文章を読んでも時間が不足することはないでしょう。
海外旅行実務の攻略法(英語力をフル活用する)

海外旅行実務の攻略法ですが,英語ができるかどうかで取るべき戦略がガラッと変わります。
日頃からTOEICの学習をしていて英語が得意な方は,この科目が最大の得点源になります。
航空会社コードや海外の史跡などは初めて学ぶことになるので辛いものですが,英語ができれば学ばずに済む範囲が出てくるわけです。
具体的には,全部で10個ある大問のうち,第7問以降がほとんど勘に近い状態でも,それ以外の分野で着実に得点できれば合格点に届きます。
これはどういうことでしょうか。
まずは総合旅行業務取扱管理者試験の配点を見てください↓
- 語学部分が40点
- 海外地理が40点
- それ以外が120点
となっており,合格点は120点(得点率60%)以上です。
海外地理の問題(第7問目以降)では答えを1つ選ぶ問題とすべて選べという問題の2種類がありますが,前者は勘で解くと25%の正答率で,後者の方は15%程度の正答率になります。
なので,期待値は8点くらいと計算できるでしょう。
つまり,語学部分で40点を確保し,海外地理で理論上は勘による期待値8点程度を見込むと,この時点で48点になります。
すると,残り120点の分野で72点,つまり6割を取れれば合格点に届くわけです。
逆に,英語が苦手な方は海外地理をしっかり学ばなければならなくなります。
英語で6割前後取れるなら,海外地理も同程度を目安にすればよいでしょう。
逆に,英語が6割を切るようなら,海外地理でその不足分を補う必要があります。
海外地理に関してはこれだけ学べば十分という終わりがないので,勉強効率が悪いです。
かといって,英語の方も一から学ぶとなると非効率ですから,長期計画でもって高校範囲を学び直しましょう。
国内を受けてから総合旅行業務取扱管理者の試験を受ける場合,実質1ヶ月での勉強期間になることが多く,その間に何ができるのか,自分の得意・不得意を参考に,よく考えてみてください。
少なくとも,英語か海外地理のどちらかに絞って勉強するのが戦略的にはベターで,二兎を追うことはおすすめしません。
その他の注意点として,航空運賃などの計算問題では,選択肢の計算式でどこが違うかを明らかにしてから解き始めると良いでしょう。
また,正しい答えを選ぶのに消去法も有効です。
まとめ
総合旅行業務取扱管理者試験では,英語力の有無によって取るべき戦略が大きく変わります。
大学受験や就職試験,さらにはTOEICスコアの評価など,現代では英語が優遇される傾向が強いですが,本試験に関しても,TOEICに向けて英語を頑張ってきた方はかなり有利に戦いやすいと言えます。
残念ながら英語が苦手な方は,海外地理の勉強を人一倍頑張るようにしてください。
一般的には広く浅く学ぶべき範囲ですが,海外の史跡を扱った参考書を別に購入してみたり,または世界遺産検定の勉強をしてみたりするなど,より深く学ぶようにしてみましょう。
上で紹介しなかったものとして,海外地理と英語をどちらも捨て問にして,それ以外のところで9割近い正答率でもって合格することも考えられなくはないのですが,実現可能性はかなり低くなります。
英語も海外地理も苦手なまま受験すると,合格まで遠回りになりやすいはずです。
少なくとも,どちらか一方は得点源にできる状態で本番に臨みたいところです。
なお,総合旅行業務取扱管理者に合格すれば,語学系最難関の「全国通訳案内士試験」の日本地理科目が免除になります。
TOEICハイスコアと旅行業資格を武器に,通訳案内士へとステップアップしていくのも,キャリアの選択肢として非常に魅力的です↓
以上のことに注意して,合格を目指して戦略的に頑張ってみてください。
最後までお読みいただきありがとうございました。