2019年の2月,スタディサプリの資格対策講座に「日商簿記対策講座」が新設されたのを皮切りに,その後,全商簿記の講座がラインナップに加わりました。
今回は日商簿記対策講座の方を中心にレビューしていきますが,結構なページ数のテキストが用意されているものの,時間をそこまでかけずに読めてしまいます。
例題を解く場合も,あまり時間がかかりません。
そのような理由から,スタディサプリは簿記の速習に向いていると判断することができ,他教材で学んでいて「たった1問解くだけでもやたらと時間がかかるし,勉強が全然先に進まない!」とお嘆きの方は,まずはスタディサプリを使って理解を深めてから,元の教材に戻ることをおすすめします。
一通り学び終えると,先が見えずに不安になることはなくなりますし,後で学ぶことになる知識が,最初の方で出会う問題を解くのに役立つことも少なくないわけです。
ところで,簿記は数年ごとに大きく出題範囲が変更されますが,スタディサプリでは講座内容のアップデートが適宜行われるので,今後試験内容に変更があった際にも迅速に対応してもらえるでしょう。
最近では,2022年6月に日商簿記講座の動画とテキストが改訂されました。
それでは以下で,本講座の内容について詳しくみていくことにしましょう!
スタディサプリの簿記対策講座の概要
スタディサプリの簿記対策講座ですが,そもそもどこから視聴できるのでしょうか。
講座へのたどり着き方ですが,「講座一覧」のところから「資格対策講座」を選択してください。
中を見ると,英検対策講座や公務員対策講座と並んで,目的の簿記対策講座があるはずです。
上の画像で示したように,講座は全部で以下の5種類となります↓
- 日商簿記3級対策講座(41講義)
- 日商簿記2級商業対策講座(49講義)
- 日商簿記2級工業対策講座(18講義)
- 全商簿記3級対策講座(31講義)
- 全商簿記2級対策講座(24講義)
講義数をカッコ内に示しましたが,1講義あたりにかかる視聴時間の目安は1時間です。
なので,日商簿記3級でしたら41時間で終わります。
なお,動画の再生速度を変更して最大2倍速で観ることが可能となるため,視聴時間は短縮可能ですが,テキストに収録されている例題を解く時間が別途必要になることは忘れないでください。
慣れないうちは,例題を解かずに先に進むことも考えられますが,問題の難易度はそれほどでもないですし,講義で学んだ内容を思い出す良い練習にもなるため,飛ばさずにやることをおすすめします。
ちなみに,公開から6年以上が経った今でもテキストを購入することはできないので,今後製本化されることはないでしょう。
PDF形式でダウンロードし,適宜印刷してください。
テキストは全部印刷する必要はなく,以下のように,簡単な作りの答案用紙などはわざわざ印刷するまでもないでしょう↓
逆に,精算表の問題を解くような場合には,答案用紙の記入欄が多くなるので,印刷することは必須だと思います。
そこらへんは柔軟に,その都度対応していきましょう!
次章から,実際の講座についてのレビューを行っていきますが,論より証拠で,早速使ってみる方は無料体験から始めてください↓
日商簿記3級対策講座のレビュー
日商簿記3級対策講座の全41講義を担当するのは,公認会計士の西田明煕講師です。
私自身,簿記資格は3級から学び始めましたが,本講座は基礎部分から説明してもらえるため,初めての方でも問題なく受講することができます。
ちなみに予習は不要で,復習がメインです。
動画を観ながら,簿記で使われる用語に慣れ,仕組みについて理解してください。
復習する際は,テキストを読み直して満足するのではなく,答案用紙付きの問題を実際に解いてアウトプットすることが重要です。
講座で扱う内容ですが,「簿記の基本原理,商品売買,手形,有価証券,固定資産」などの仕訳の話から始まり,「試算表や精算表」,さらには「P/L・B/Sの作成」までを網羅的に学ぶことができました。

全406ページからなるテキストは,主に教科書的な内容と例題,そして問題と解答・解説から構成されています。
内容ですが,まずは各テーマにおける要点が書かれており↓
その後,例題を講師が実際に解きながら解説してくれる構成で,学習者がどのような間違いを犯しやすいのかを具体的に教えてくれるところが良かったです。
予備校講師による説明内容ですが,市販本で学ぶ場合にはあまり多くを聞くことができません。
加えて,スタディサプリの動画は,画質が大変きれいで,レイアウトまでよく考えられています。
10年以上の歴史で培ってきたノウハウが生かされていることは明らかです。
予習は不要ですが,授業を受けた後はテキストにある「問題」を解き,それらを完璧に正解することで,授業内容が頭の中に整理されます↓
問題は,例題とはまた別物で,総合的な復習と考えてください。
答案用紙がある他,解説が文章で丁寧に書かれているので,初心者に優しい作りとなっています。
メインテキストは,ところどころに赤や青の色が入った3色刷りになっていて見やすかったです。
なお,日商簿記3級は商業範囲のみからの出題になるので,スタディサプリにおいても1種類の講座のみが存在することになります。
不満点として,確実に合格するためには問題量をもう少し増やしてもらいたいと感じました。
「試験対策」というコンテンツが最後にあって,特に重要な部分を再度扱ってはいるものの,それを含めてもやや足りない印象です。
この点については,別に問題集を購入するなどの対応が必要になるかと思います。
ですが,重複する内容の問題をカットすることで,その分,早く先に進めるというメリットが生じていることも事実なので,一概に本講座の構成が悪いとは言えません。
当サイトの結論ですが,あくまで教科書的なもの,参考書代わりとして使うのが良いのではないでしょうか。
一般的な日商簿記3級の勉強法については,以下の記事を参考にしてください↓
続いて2級の講座についてみていきましょう!
日商簿記2級講座のレビュー
スタディサプリの簿記2級講座は,商業のものと工業のものの2つに分かれています。
講義とテキストのページ数は以下の通りとなっていて,3級のものと比べると倍以上の量です↓
- 商業簿記は49講義で583ページ
- 工業簿記は18講義の261ページ
ちなみに,簿記2級講座を受講するにあたっては,簿記3級に合格しているか,それと同等の知識があることが想定されています。
久しぶりに簿記を学ぶ方も,まずは3級講座から始めましょう。
知識が積み重ねとなるため,抜けがあると厳しいです。

なお,商業簿記を担当するのは3級のときと同じ西田講師でしたが,工業簿記の担当は川島渉という別の公認会計士の方です。
テキストの特徴としては,商業でも工業でも扱う内容は網羅的になっており,手順としては,まず各テーマについて解説と例題を使って理解を深めていきます。
こちらも,試験でよく聞かれる範囲においては「試験対策」と名の付いた講義(商業用は別に分けられていますが,工業用は最後にある2講義がこれにあたります)が別に存在し,より本番に近い形式で問題を解いていくことが可能です。
以下は,工業簿記の試験対策において,標準原価計算の中の「パーシャルプラン」について解説している様子になります↓
問題を解く上で便利なボックス図ですが,一度は誰かに習っておくことが必要です。
商業簿記とは先生が異なりますが,特に説明形式が大きく異なるようなことはありませんでした。
全商簿記対策講座のレビュー
スタディサプリの全商簿記対策講座についてですが,こちらも2級と3級の2つが存在します。
日商簿記と比べると受験者数は少なく,同じ級でみた場合の難易度は劣りますが,目的によっては十分選択肢に入るものです。
例えば,高校生が受ける場合に全商簿記を勧めることがあります。

スタディサプリの講座を担当するのは,日商簿記で商業のところで紹介した西田先生で,講義数は以下の通りです↓
- 全商簿記3級が31講義
- 全商簿記2級が24講義
講義内容やテキスト形式に,日商簿記との違いは感じられませんでした。
専門の予備校で培ったノウハウから判断して,この形を最終形としたのでしょう。
テキストのページ数は3級が350ページ,2級のものが243ページとなっていて,日商簿記よりも少なくなっています。
スタサプの簿記2級講座を2週間でやってみた
私がスタディサプリの簿記講座を利用した時は,ちょうど2週間後に本番を控えている状態だったので,全体的に抜けている知識がないか,そして忘れてしまっている記憶を思い出すという目的で,全講義を速習してみたものです。
商業簿記と工業簿記の2講座を合わせると全部で67講義あるので,単純に考えて,視聴するには67時間がかかります。
これだと,2週間でやるには1日5時間以上学ばないといけないので,ちょっと長いです。
なので,動画の再生速度を早く設定することにしました。
私は,すでに簿記2級の知識を別教材で既習済みだった(ただし,学んだのは1年以上前のことになります)ので,MAXである「2倍速」で観ることにしたわけです。
途中,やや理解が追いつかないところもありましたが,そこはテキストを読み直すことで対応できましたし,そもそも,理解が不十分な範囲というのは,たとえ「1.5倍速」で観たとしてもきっとわからなかったでしょう。
結局,速度は最後まで2倍を維持し,不明点のみを適宜テキストを読んで復習することにしました。
練習問題は別に時間を設けて解く必要があったものの,視聴自体にかかる時間は,2倍速の場合,全67講義を33時間ちょっとで終えられる計算になります。
毎回,すべての講義が1時間あるわけではないので,実際は30時間くらいで見終わりました。
1日2時間きっかり勉強すれば15日かかりますが,仮に1日4時間くらい頑張れると,1週間ちょっとで終えられる分量です。
私自身,別に購入した予想問題集をやる時間を残したかったこともあって,3~4時間を日課にして頑張りました。
ちなみにですが,私のように簿記をしばらく勉強していなかった期間があると,「賦課」とか「有利差異」などの専門用語の意味が思い出せなくなるものですが,再度解説されると,初めて聞いたときよりも素早く思い出すことができます。
スタディサプリの講義は1時間かかるので,一度に多くの講義を集中的に聴くのは大変だと思うかもしれませんが,実際はチャプターが複数に分かれているため,より短い時間のまとまりごとに一息つくことが可能です。
具体的には,大体5~10分ごとにまとめの時間が入り,以下の画像では5つのチャプターが確認できます↓
電子黒板を使った解説なので,講師がチョークで文字を書き込むような余計な時間が生じません。
テンポ良く授業が進んでいきます。
「商業を2時間+工業を1時間」の計3時間を日課とすると,どちらの範囲にも触れられるのでバランスが取れた学びとなるでしょう。

参考までに,資格学校が開催する簿記講座においても,商業をやった次の週には工業を学ぶといった具合にかわりばんこに授業しています。
2級の詳しい勉強法については以下の記事もどうぞ↓
まとめ
以上,スタディサプリの簿記対策講座のレビューでした。
大手企業であるリクルートが提供しているサービスということで,3級であれ2級であれ,初心者にわかりやすい解説と構成で,経験者(不合格の憂き目にあった人)には「速習」という恩恵も与えてくれる良質な講座でした。
どの講義も1時間以内に見終わることができ,さらには5~10分程度の細かいチャプターに分かれているので,通勤・通学や家事途中のスキマ時間に学ぶことができます。
学習のコツは,しなければならないものを関連させて学ぶことであり,上の方法では通勤・通学と勉強を同じ時間でこなせることになるので積極的に採用しましょう。
一度試験範囲を学習した方であれば,私のように再生速度を2倍にして視聴することで,慣れるまではやや大変かもしれませんが,30時間ほどで全講座の視聴が可能になるのは大きな魅力です。
初心者の方は「毎日1講義は動画を必ず観る」といったルールを設けることで,仮に数ヶ月間使い続けることになっても,スクールに通うよりもずっと安価に簿記試験の勉強ができます。
こちらもまた,スタサプならではの強みと言えるでしょう。
とはいえ,誰もがスタディサプリの講座を視聴するだけで合格できるとは言えません。
日商簿記3級のレビューのところでも言及したように,本講座に収録されている問題だけでは演習量が不足しているように感じるので,予想問題集は別途購入する必要があるように思います。
逆に,スタディサプリで学べば,内容を解説する参考書(教科書的な本)はわざわざ買わなくて構いません。
先に紹介した勉強法の記事内容を参考に,是非ともスタディサプリをメイン教材に据えて実践してみてください。
なお,タイミングによってはスタディサプリをお得に申し込める場合があるので,申し込みの前に一度キャンペーンコードのまとめページを確認しておくのが良いと思います↓
最後までお読みいただきありがとうございました。